先日、地域の交流センターにて、小学生たちと少しメタルマッチで遊んできました。(ちゃんと施設の許可をもらっています)
メタルマッチとは、マグネシウムの棒を削って火花を散らす着火道具。「ファイヤースターター」など複数の呼び名があるようです。
メタルマッチは、最初はバチバチッという火花しか飛ばないので、乾いたふわふわしたものにしか火が燃え移りません。
ふわふわした着火剤→葉っぱ→細い枝→太い枝へと火を燃え移らせていくことで、小さな火花から大きな炎へと、火を育てていく楽しさがあります。
濡れても使える、マグネシウム部分がなくならない限り半永久的に使える、ということで非常時に活躍することも。
子どもたちは勝手に学ぶ
地域交流センターにいた子どもは小学生~中学生。
小学生には、まずはメタルマッチの使い方を知ってもらうために、ほぐした麻紐に着火させることにチャレンジしてもらいました。
これなら、火はほぼ一瞬で燃え尽きるので安心・安全に練習しやすいです。
子どもたちは麻紐をほぐすのも楽しかったようで、「私ほぐしたい!」「やらせて!」と立候補者が続出。
誰かひとりがメタルマッチで火花を散らす練習をしている間に、あっという間にほぐした麻紐が出来上がりました。
最初に私がメタルマッチの使い方を見せてあげて、子どもたちも見様見真似でやってみます。
なかなか麻紐に火が着かない子がいると、「もっと麻紐に近づけてやった方がいいんじゃない?」「何回かやってると麻紐が焦げてきてるから着きやすくなってると思う!」など、方々からアイディアが飛んできます。
素晴らしすぎる。尊い。なんてスゴイ子たちなんだ…!
きっかけだけ作ってあげれば、子どもたちは自分たちで勝手に学ぶものだなぁと、あらためて思いました。
また、麻紐に火がつけられるようになると、今度は「お菓子焼いてみたい!」と言い出す子がいました。
内心「うーん、麻紐の火くらいじゃ焼けないけどなぁ…」と思いながらも、何も言わず様子を眺めてみることにしました。
1人が麻紐に火を付け、1人がチョコパイをトングで挟み、火に近づけます。
「あ~もう消えちゃった」「パイに炭が付いちゃっただけだね」
「今度はポテトやってみたい!」(じゃがりこのようなものを出してきた)
再度ポテトでチャレンジ。
すると今度はみるみるうちにポテトが燃えて焦げていきます。
「すごい!あっという間に焦げちゃった!」
「なんでだろう~?」
と、ここまででタイムオーバー。
特に答えを伝えませんでしたが、こういう経験から「なんであのときポテトは燃えたんだろう?」とか「ほかにもメタルマッチで火を付けられるものはなんだろう?」とか、そういう疑問を持って、仮説を立てて実験してみたり、ということに繋がっていくと素敵だなぁと思いました。
中学生2人には「麻紐だけだとすぐ消えちゃうけど、これをどうしたら大きな火にできるかな?」と問いかけてみたところ、枯れた草を持ってきて焚き火台に組み始めました。
「空気が入りやすくすると良いんじゃないかな!? 理科の授業でやったぞ!」
などと言いながら試していました。
すごい…。授業の内容を応用できるなんて…天才???
短い時間でしたが、大人にとっては驚きの連続でした。
答えを教えない体験プログラム
子どもたちが自ら学んでいく様子は見ていて感動すら覚えます。
メタルマッチひとつでもたくさんの学びがありそうだぞ、と実感したので、これを体験プログラムに昇華させたいと思っています。
初めから答えを教えるのではなく、先入観なしでやってみてもらう。
子どもの自由な発想で自分なりの正解を導き出し、それができたときの達成感や感動を味わってほしいし、例えできなくても試行錯誤することの楽しさを知ってほしいし、その試行錯誤から新たなアイディアが生まれ得る、ということも体感してほしい。
火起こしの技術ではなく、試行錯誤することの楽しさを伝えて、薪よりも子どもたちの心に火をつけたいなぁと思ったのでした。(うまいこと言ったぜというドヤ顔を添えて)
ちなみに、ドヤ顔の後になんですが、72時間サバイバル教育協会さんというところが同様に「答えを教えない教育」というコンセプトで減災教育をされているそうで、今一番興味があるプログラムです。
追記:ワークショップ実施!
ということで、上記の思想を元にしたメタルマッチ火起こしと焚き火のワークショップを2020年10月3日(土)に開催することになりました!ぜひご覧ください~。